コラム

豊胸手術の医療事故なぜ起きる? ドクターの見解を発表

時に重大なミスに発展する医療事故は、なぜ起きるのでしょうか。その原因を紐解くため、過去に裁判になった豊胸手術での医療事故概要について、THE CLINIC ドクターの見解をまとめてみました。

【医療事故CASE1:リクエスト内容と異なる施術をされた】

—東京地方裁判所 平成16年(ワ)第17189号
■事故概要■
経産婦で長女の授乳を終えた患者は、乳房が下垂したため200〜220cc程度の生理食塩水バッグによる豊胸術を受けた。数年後、三女の授乳も終えると再び乳房下垂が目立つようになったため、再度豊胸術を受けることに。患者は既に挿入されている生理食塩水バッグの上から、さらに脂肪を加えれば乳房下垂を改善できると考え、被告クリニックに数回の電話相談をしたうえで、脂肪豊胸術を受けた。しかし実際の施術では生理食塩水バッグを抜去した後に、左右の臀部から大腿部にかけて約300ccの脂肪採取を行い、左右の乳房に注入された。「挿入している生理食塩水バッグの上から、脂肪注入を行う」という認識だった患者は、被告クリニックに手技上の過失や説明義務違反があったと主張した。

■THE CLINICドクター見解■
乳腺専門医のドクター千葉は、このケースは一般診療でもよく起こる要注意パターンだと語ります。「カウンセリング内容と施術内容が異なっているケースは、ドクターが患者様のインフォームドコンセントを得られていないことが原因です」。インフォームドコンセントとは、〝十分な説明を受けた上での同意〟のこと。ドクターの説明が医学的過ぎて患者様に伝わりにくく、説明不十分だった場合などに起こります。さらに、「このケースは電話相談のみで施術を実施したようですが、これは大変危険なことです」と、診断不足も指摘しました。THE CLINIC ではカウンセリング時に必ず、ご要望を伺った上でエコー診断も行い、ベストな治療法をご提案するシステム。また、ゲストのご都合上、やむを得ずカウンセリングを行ったドクターと、施術をするドクターが異なる場合は、施術医も再度インフォームドコンセントを得ることで、このような医療事故を予防しております。

【医療事故CASE2:シリコンバッグの切開位置を間違えられた】

—東京地方裁判所 平成14年(ワ)第22617号
■事故概要■
患者は、〝傷跡(痕)を目立たせずにシリコンバッグ豊胸が行える〟という旨の広告を見て、被告クリニックを受診。「広告のように、脇の下から目立たないようにシリコンバッグを挿入したい」という依頼で豊胸手術を行った。しかし、右側については脇の下による切開のため、傷痕は腕によってほぼ隠れるのに対し、左側については脇の下から数cm程度も乳房寄りの場所が切開される結果となった。腕を下ろしても傷跡は隠れず正面から視認できる目立ちやすい位置にあるという状態に。「施術した担当医に傷跡を診てもらいたい」と被告クリニックを訪れるも、ドクターによる診察は叶わずナースが傷跡を撮影するのみといった対応であった。

■THE CLINICドクター見解■
豊胸技術セミナーで国内の医師たちに指導を行うドクター大橋は、デザイン認識の不足とフォロー体勢の乱雑さに問題があると指摘しました。「切開傷が目立つというのは、〝ただ、胸を大きくすれば良い〟という短絡的な考えが見受けられます」と、同じ美容外科医として落胆の色を隠せない様子。ボディデザインを重んじるTHE CLINIC の豊胸手術は、ただボリュームアップすれば良いという発想では行いません。美しいバストでなければ意味がないため、傷跡には最大限の注意を払います。「例えば、シリコンバッグ抜去時の切開も脇の下の〝シワ〟に沿って行うことが基本。また、挿入時であるならケラーファンネルという最小の切開口からシリコンバッグを入れられる機具を活用すれば、数cmもの傷ができる事態は回避できるでしょう」とドクター大橋は語りましたが、脇の下からの挿入・抜去には高い技術が必要。この医療事故を起こしたドクターは症例や経験が少なかったのかもしれません。
また、右だけベテランドクターが手術し、それを参考に左は新人ドクターが行った結果、失敗したという可能性も考えられます。なぜなら、患者様側からの再診察依頼にドクターが応じなかったという事実から、不誠実さだけでなく背徳感も見て取れるからです。良質なクリニックであれば、必ずドクターが再診察し、適切なアフターフォローを行うものですから。

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